Last updated 2002-08-14

Brainstorming in Ehime 開催について

目的

UNIX USER での GCC プログラミング工房連載、Interface 特集号の執筆を通じて、「この情報を読者の方々に伝えたい」という夢はある程度実現できたと思います。しかし、私の筆量不足で十分に伝わっていない点も多々あるでしょうし、読み進める途中で脱落してしまった方もいらっしゃる事でしょう。

そこで、ここ愛媛の地でささやかながらディスカッションの場を設けることにしました。名付けて、Brainstorming in Ehime。私が執筆した記事の補講にとどまらず、様々な分野のスペシャリストが集うことで、お互いに刺激し、新しい発想を喚起できるような場になってくれればという願いを込めて名付けました。もちろん、意欲のある学生さんも大歓迎です。

テーマ1「オリジナル仮想機械 octopus によるアセンブラー学習の第一歩」

参加希望者の方々からご意見を聞いた結果、第一回のテーマは「アセンブラー」に重点を置くことにしました。本屋のコンピューター書籍コーナーに足を運べば分かりますが、Cやスクリプト言語の教科書は山ほどあるにもかかわらず、アセンブラーの6文字をタイトルにしている本は、皆無と言って良い状況です。自分の回りを見渡したところで、アセンブリ言語プログラミングの経験を持った人など聞いたこともない・・という場合が多いのではないでしょうか?

これは大変嘆かわしい事実であり、日本におけるソフトウェア産業の今後を考えると私は不安でなりません。なぜなら、「アセンブラーの知識なくして、プログラム処理系を使いこなせる訳がない」からです。プログラム処理系とは、Cコンパイラーはもちろん、今はやりの Perl/Ruby といったスクリプト言語や、Java 仮想機械などが含まれますが、これら全ての高級言語の基礎となるのはアセンブリ言語です。アセンブラーの知識がなければ、コンパイラー・リンカー・インタープリターを使いこなすことは「決して」出来ません。

とは言ったものの、具体的にどのようにしてアセンブリ言語の学習を始めれば良いのか、途方に暮れておられる方も多いでしょう。そこで、色々考えた末にアセンブリ言語学習用の仮想機械を設計することにしました。名付けて、octopus 。8ビットサイズのコンパクトCPUをシミュレートしますが、本格的な I/O 操作を体験できる点が COMET II (CASL II の標的 CPU) とは大きく違います。アセンブリ言語の醍醐味は何と言っても、「ハードウェアを自由自在に操る爽快感とソフトウェアとハードウェアの一体感」です。高級言語では決して体験できないこの感覚を、是非とも当日参加された方々に味わって頂きたいと思います。

テーマ2「英文技術文書の読み方」

ふたつ目のテーマは「英文技術文書の読み方」です。現代の技術者にとって、英文が読めるかどうかは死活問題になりつつあります。しかしながら、具体的にどのようなトレーニングを積めば良いのか、そのノウハウはどこにも書いてありません。幸い私は大学での研究生活を通じて、厳しいトレーニングを受ける機会に恵まれました。このトレーニングを通じて得られた知識と、自分自身で工夫したノウハウを参加者の皆さんにお伝えしようと思います。「テーマ1」に関しては雑誌上でも再現可能ですが、こちらは誌上では不可能ですから、参加する際のお得度はこちらが上でしょうか?

具体的な教材は、Inferno の紹介文書に決定しました。全7ページですが、Inferno の特徴が実に良くまとめられています。英文の質も一級品であり、教材としては最適でしょう。

セミナー開催日までに一通り読んで頂いた上で、この文書のエッセンスはどこにあるのか、何か得るものがあったか、問題点はどこか、などについてディスカッションします。試験ではありませんので、どうかご安心を。英文読解は重要なファクターではありません、「この文書から自分は何を吸収したか?」が大切なのです。会場ではインターネットへの接続も可能なようですから、得られた「点」の知識をどのようにしてネットワークやソースツリーを通じて「面」に広げていくか、日頃私が使っている情報収集ノウハウも併せて紹介できればと思います。

日時

8月10日(土曜日) 午後1時〜5時まで。会場はOA研修室という施設で、合計21台のPCが利用できます。当日は Brain Storming 専用のブート・ルートディスクを用意しますので、一人ずつプログラムを操作し理解を深めて頂くことが可能になりました。

場所

テクノプラザ愛媛(愛媛県松山市久米窪田町)。下見をして来ましたが、素晴らしい環境です!

費用

参加費は無料ですが、当日会場の設営準備などお願いする事があるかもしれません。

参加資格

UNIX USER GCC プログラミング工房、Interface 2002 年 7 月号読者の方々

参加申し込み方法

参加希望者はプロフィールを添えて brainstorm@skyfree.org までご連絡ください。皆様のご参加、心よりお待ちしております。

平成14年7月4日

西田 亙 (NISHIDA Wataru)


Your SysOp is Wataru Nishida , M.D., Ph.D.